No Pain No Gain

40代ゲイの世界ひとり旅

ドラマ「Here and Now」


HERE AND NOW Official Trailer (HD) Tim Robbins, Holly Hunter HBO Drama Series

 

Here and Now を見た。

やっぱり映画でもないドラマのいい所は、その時制をタイムリーに反映できる所だと思う。このドラマはまさしくトランプ率いる現代のアメリカに生きる人々に向けてのお話。そして、政治や経済のように、アートも世の中を支えるとても重要な要素であることを再認識させてくれる。まだまだ私たちにできることはあるのだ。このドラマの中に流れるもので特に感じたのは、こちら側だけではない、向こう側のことにも思いをはせることだと思う。向こう側の立場に立つ視点こそが今求められてる。

 

白人の両親に、アジア人、黒人、白人の子供達。セリフにも出てくるように、すごい実験的な家族。白人の親が掲げる理想に向けての壮大な実験。世の中をよくしたい、その行動はたぶん真摯なのだろうが、でもそれに付随してくるめんどくさい事。当事者から見たら、ありがた迷惑とでも言うのか、物事はそんな一面だけでない、一つ一つを見て行くと、とても複雑なもので、簡単にこれだと一言などで言い表すことなどできない。それこそが現実なんだと思う。でも、ニュースなどで見て理解しようとすると、ある程度単純化される。そうならないと難しすぎて、理解されない。できない。みんなそんな暇ないし。

 

さらに、イスラム教、キリスト教、LGBT、とにかく全部ぶっこむ。パレスチナ人とイラン人の間で生まれた男の子が家では化粧して、ヒジャブを被り、sexually fluid。それでもイスラム教に熱心な男の子。ゲイという設定があまりにも当たり前な現代のドラマでは、次に持ってくるのはこんな複雑な設定の男の子で、そして女の子とセックスする。外見上はストレートのセックスだけど確実にマイノリティ。そんな彼にとても理解のある両親。なぜなら「世間」はもっと残酷だから。

 

トランプがやったのは、ぶっちゃけ、物分かりのいい、みんなが理想的に一つになった、politically correctな世界は、クソ喰らえ、そうは言っても現実は気持ち悪いし、よくわかんないし、自分のことでないし、ぶっちゃけ邪魔。彼は全てが politically correct になり過ぎた世間に対して、既存の政治家に対して、ぶっちゃけクソ喰らえって言って、アメリカの半分くらいの人が支持をした。理解はできる。行きすぎたpolitically correctもそれはそれで息ができなくなる。何を言うにもするにも。

 

で、そんな世の中で私たちにはどんなできる事が残されているのか?多くの人は言葉を失う。何を言ってもフェイクニュースで片付いてしまう。そもそもの討論にならない。できるのは黙って相手にしない事だ。でも、黙って相手にしないと先方はそれなら好きにさせてもらいますと、更に拡大してくる。本当に疲れる。

 

これが会社なら辞めればいい。その他山程働けるところがある。でも、これが自分の住んでいる国だとしたら、つらい。逃げられない。

 

最近ツイートで学校でいじめをなくすために、二つのことをすべきという意見を読んだ。一つは演劇を授業に取り入れることで、別の人の立場からものを考えられるようになること。もう一つは固定されたクラスを無くして授業単位制にすることで、クラス内で凝り固まるのを避けること。いじめなんて何があったって絶対なくなるわけないじゃんとしか思ってなかったけど、この二つの例はとても具体的な提案で、しかもこれがはる風ちゃんという17歳の女の子のツイートで本当にすごい感性だと思った。

 

向こう側に立って思いを馳せる。物事は簡単にまとめられないし、答えなんて簡単に出ない。それでも向こう側からこちらを見ることで、同意はできないがどうしてそう思うかは理解できることはあると思う。

 

トランプ大統領をほぼ半分の国民が支持している世の中は謎でしかないけれど、まさしくその視点で考えろと言っているように思う。

 

日本では、先日シリアで解放されたジャーナリストに関して、自己責任なので一生かけてでも身代金を返金して欲しいなどとコメントが多々ある。ものすごい数の人が同意してて、同調する圧力もすごい。個人での生きにくさがある。

 

自分的に何よりも驚くのは、そもそもシリアに行って何かを報道したいという発想を持った人が日本にいることの方がすごいと思った。そんな発想を持てる人が日本にもいたのかと。そういう人は貴重だと思う。特にサラリーマンとして会社で働いて、あれだけロボットみたいな人ばかり見た後では。

 

高齢化で忖度する日本が生き延びるとして、こういう他とは違う考え方を持つ事が今後重要になると思う。今はまだ正社員と派遣とか言ってられるけど、いずれにしよ全てロボットとAIにとって変わられた時に何が残るのか。それはみんなとは違うものを見て、自ら違う考え方を養い、それに行動する力ではないかと思う。

 

Here and Nowにはこれでもかといろんなマイノリティがぶち込まれてるが、自分は普通と思ってる人も、切り口が変われば、いついかなる時にでもマイノリティになる可能性を持ってる。アメリカ人って人種だけでなく本当に色んなタイプがいるから、個としてほっといてくれて、生きやすい社会でもある。だからこそ余計に相手の立場から世界を見ることが今必要なのかもしれない。