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40代ゲイの世界ひとり旅

本「それでも私は腐敗と闘う」

ここグアテマラのケツエルテナンゴにある日本人宿タカハウスにはたくさん日本の本がおいてあるんだけど、そこでふと目に止まった本。コロンビアの政治について書いてあって著者はコロンビア人だけどフランスでも過ごし、この本はフランス語で書いたらしい。

 

それでも私は腐敗と闘う

それでも私は腐敗と闘う

 

 

何気にぱらぱらと読み始めたらもう一気に引き込まれてそのまま読み切っちゃった。

 

著者はコロンビア下院議員としてはじめ、上院議員にも当選し、最終的には大統領選にまで出馬する。コロンビアの1980〜2000年代の政治模様がよくわかって、何よりもその汚職と、麻薬と、暴力とが本当にコロンビア政治の骨の髄まで蝕んでいる中で、彼女はそれこそを変えようと政治活動を始め、他政治家から猛反対に合いながらも、自分の信念を曲げず、突き進むその姿勢と活力は本当に「何が人を突き動かすんだろう」と考えさせられる。

 

当時のコロンビアは今でこそ観光も盛んになってるけど、麻薬カルテルのパブロ・エスコバルの力も全盛で、更にゲリラとパラミリタリーなどの内戦もあり、超危険な国。彼女は外交官の裕福な家庭に生まれて、フランスでも幼少期や学生時代も過ごし、そこで出会った外交官の夫と共に世界中どこでも好きなところに住めたはず。でも、それでも、コロンビアに戻りたいと思ったのは何なんだろう。この本のすべてのページに溢れている自国への愛、そしてそれ以上ににひしひしと伝わってくる闘志。そのために離婚してでも、子供と離れる可能性があってでも、それでも何かが強烈に彼女を突き動かして、その成し遂げなければならないこと、コロンビアの政治を正さないといけないと、駆り立てる。

 

今の世の中でも色んな政治にからむ陰謀説があるけど、この本の中に出てくる当時の模様は本当に驚かされる。彼女が中の人として、外に向けて説明してる本だから当時の模様が、本当に起こっていることはそうなんだろうなと推測できるけど、それでも次から次へと繰り広げられる世論を操る手口は信じがたいくらい功名で、真実が表にでて人々に理解されるなんて、本当にありえない確率なのではと思う。

 

国民なんて、自分も含め、本当にいとも簡単に操られる。次から次へと「それらしい」罠を張り、「真実」を知ることなどできない国民は、ただその表層に浮かぶキーワードから各自結論を導く。その結論こそがまさしく操作されたものなのだけれど。

 

本当に汚職が酷いと、国民は「何か」自分の信じられる足場になるものがないと、目の前にある「真実」すら目を背けて、安全に感じるものを受け入れる、と彼女は書く。日本人の自分には想像つかないが、現政権や警察や軍隊が、ゲリラや麻薬カルテルにも勝てないという状況で、しかもその正義だと信じたい政治と権力の中心こそが汚職で成り立ってる社会だとうすうす知っている国民は、どこに、なにを、信じて生きていけばいいのだろうか。年間3万人の死者がでるくらい途方もなく暴力的な当時のコロンビア社会ではどこに希望を持って生きていけばいいのだろうか。

 

汚職の告発にからむ人間が次々と殺されていく中、彼女自身と彼女の家族にまでその標的は向けられる中で、それでも意思を曲げることなく突き進むその姿勢には感動しかない。そして、そういう人が存在してくれる事に驚嘆するし、それこそが希望なんだと思う。

 

彼女の事は全く知らないで読み始めたのだけど、なんと本のあとがきで彼女が2002年2月にFARC(左翼ゲリラ組織・コロンビア革命軍)に誘拐されていると出てきた。この本のフランス語版は2001年3月に発売され当時はまだ大統領選にも出馬していないところで終わってる。日本語版は2002年5月発売で、あとがき部分は日本語版に付け加えられたのだと思う。この本の中ではその後彼女がどうなったかわからないかったので、すぐにネットで調べてみたら、なんと2008年7月に無事開放されてた!この本の終わり方をみたらまるでアンネの日記のように、いきなり終了になって、本の中に出てくる数々の政治家のように彼女もまた殺害されてしまったのかと思ってただけに、ほっとした。それでも6年半という拉致時間はとてつもない時間だ。

 

その時の状況についての手記がKindle本でも発売されてたのですぐさま購入。今から読んでみる予定。

 

 

 

さらにYoutubeで開放直後の映像もあって心打たれたところ、さらに彼女のTed Talkまででてきて、本当にYoutubeがあれば学校なんていらない世界になったなと思う。Ted Talk は超オススメだから英語がわかる方はぜひ。ただただ素晴らしいく、心打たれます。


"¡Gracias Colombia!": Íngrid Betancourt

 


What six years in captivity taught me about fear and faith (English subtitles) | Ingrid Betancourt

 

 

 

フランス語タイトルは「La rage au cœur」なので日本語だと「心からの怒り」というか、「込み上げる怒り」みたいなものだけど、「それでも私は腐敗と戦う」というタイトルはとてもエッセンスが伝わって良いなと思う。

 

自分はコロンビアに行ったからこの本にも興味が出たけど、この本はコロンビアの腐敗した政治を通して、それに「具体的に」対抗していく模様が見えて、程度は違えど世の中の企業やどこの国の政治にも当てはまるので、みんな共感できるところが多いと思う。

 

Ingrid Betancourt 

https://en.wikipedia.org/wiki/%C3%8Dngrid_Betancourt